宝島のチュー太郎

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    冬でも生のまま舐める、店主はそれが好き

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これから暫く、母と二人飯

 

 

 今年90歳になった母の食事管理を任せていた末弟の緊急入院という憂き目に会って、今宵から私がそいつをこなさなけらばならない。

朝、買い出しに出て、まずは豆腐を十丁。
私は10年余り、毎夜、豆腐を食う、そうした食生活を送っている。
ならば、母も一緒に、という訳だ。

 

 母と二人並んで鍋をつつく。
お互いに、少しずつの気遣いを感じつつ、それでも、これはこれで喜ばしいこと。
だって、こんなことでもなければ、母と二人きりで食事をすることなんて、死ぬまでなかったろう。

 

 そんな風に捉えれば、全ては思し召し、さう思う。

 

 

 明日は、ステーキを一緒に食おう、そう考えている。

なに、お買い得なそれを見つけただけのことなのだけれど。

 

 

 

 

 

 その昔、私がまだ小学生だった頃、昭和30年代の、世の中みんなが倹(つま)しく生きていたあの頃、まずは鯨肉、次に鶏肉、そしてちょっと間を空ける感覚で豚肉、して、圧倒的に高級だったのが牛肉だ。

 

 なので、我が家の食卓にそれが上がることは滅多になかった。
ましてや塊肉なんて。

 

 だから、当時、お母ちゃんは朝、子供たちに胸を張ってこう宣言したものさ。

「今夜はビフテキぞ!」

 

 すると、子供たち三人(末弟はまだ産まれてなかった)はおお~っと。
それは、河端家の一大イベント。
普段、出番のなかった、どこかの引き出物で貰った、なんとなくペラっとしたフォークとナイフが登場するのだった。

 

 倹約な時代、特に、貧農の出から商売人となった父親は、子供たちに贅沢は敵、といった教育を施してきた。

 

 しかし、決して、心まで貧しかった訳ではない。
なんなら、あの頃の方が、心は豊かだったのではなかったか。
今となっては、ただただ、懐かしい記憶。

 

 

 さあ、ばあちゃん、明日は二人でビフテキぞ。

こんだ、ボクが焼くけんね・・・・

 

 

 

2025.12.6. sat. 19:07 撮影