宝島のチュー太郎

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猫を棄てる 父親について語るとき

 

 

 

 

 

名文である。
ハルキっぽくないところが良い。
てことは、彼は恐らく、小説としての自己の文体というものを強く意識しているのだらう(これは、随筆、毛色がちと違う)。

 

この作品は、数年前、月刊文藝春秋に掲載されたのではなかったか。
まだ単行本になる前のリリースだったので、ボクはナイルでそれを取り寄せて読んだ。

そいつを今朝、オーディブルで見つけて聴いてみたのだけれど、冒頭の猫を棄てる部分と、末尾の、高い松の木から降りられなくなった猫の部分しか記憶に残ってない。
肝心な本文が見事に、全く、すべからく、欠落している。
ならば、読んでないのと同じことなのでは?
さうは思いたくないのだけれど、さう指弾された場合は、抗いようがない。

 

朗読は、中井貴一くん。
流石の朗読力、その抑揚といい、文節の切りかた、間の取り方、全てにおいて素晴らしい。

ただ、惜しむらくは、【~せざるを得ない】という文節が、最近よく聞く【~せざるおえない】という誤用の発音として聞こえてくる部分。

これは、文字の羅列として読むならば、間違いようがない筈だが、ボクの記憶に依れば、三か所あるうちの二か所が後者の響きであった。

ということは、ついそう語ってしまう、もしくは、そう聞こえてしまう、このどちらかということになるが、そいつがどちらなのかについては、ボクには判断しかねる。

 

なにはともあれ、村上春樹さんの作品のナレーターは、ほとんどが俳優。
それは、意識された布陣なのだらう。

 

朗読好きな人には、これだけでも喜ばしい作品群ではないだらうか・・・