一昨日の午後、ある電話が掛かってきた。
最近やたら電話セールスが掛かってくることに閉口している私は、出る寸前から構えていた。
やたらと大きな音量、耳を若干話しながらやりとりする。
そして、「~~でよろしかったでしょうか」という、私の嫌いな最近の若者の言い回し。
もうその段階で強めの拒否反応が出た。
そして、「興味がないので切ります」と告げて、強引に通話を終了。
その内容は『アマゾンの委託配達業務を受けませんか?』というものだった。
【今更】という思いも手伝って、検討の余地はなかった。
その数時間後、やってきたのが、実際に説明する役割を抱えた若者だった。
「さっき電話で断ったんやけど」
「そうですか、電話を掛けた者とは別なんですけど、一度訪問するように指示が出たもので」
「そうなんや、しかしオレ、さっきは相当失礼な切り方したんやけどな」
「いえ、ちょっとお時間よろしいですか?」
その段階でも興味はなかった。
でも、キチンと話は聞いてあげるべきだと考え直して理解した内容はAmazon Hub デリバリーというものだった。
そして、一番私の心の扉をノックしたのは、【当地、新居浜にもアマゾン直轄の物流拠点】が近々稼働するという点だった。
それには、こんな偶然がある。
過日、BSテレ東のモーサテ特番でインタビューを受けていた、元マイクロソフトの社長である成毛眞氏の話す内容に感銘を受けて、その著書を図書館で借りて読んでる最中だった。
それは、2018/8/9発刊という古い本なので、『内容も古いだろう、でも、それすらも知らなければ、自分は無知なままだ』との思いからだった。
それがこれ。
厳密には、これは新書版で、私が借りてるのは単行本なんだけど。
以下引用
●アマゾン1社さえ分かれば、最新のビジネス感覚が身につく●
アマゾンという企業を研究することは、これからの最新の経営学を学ぶことと同じです。
「ビジネスモデル」「キャッシュフロー」「AI技術」「会員サービス」など、ありとあらゆる革命がこの企業にはつまっています。
アマゾンは、あっという間にさまざまな業界に入り込み、それぞれの大企業を脅かす存在になりました。
いったい、それはどうしてなのか。アマゾンは何をしているのか。
この本では、「小売り」「資金」「クラウド」「会員サービス」「M&A」「物流」「テクノロジー」「組織」などの面から、元マイクロソフトの社長である成毛眞氏が徹底解説。
この1社さえ押さえておけば、世界で今何が起こっているのか、現代のビジネスマンや企業家が知っておくべき最新のビジネス感覚を身に着けることができます。
【本文より抜粋】
序章 アマゾンがなかったら生活できないかも
アマゾンが秘密主義なのはなぜなのか
アマゾンは、ローマ帝国
第1章 圧倒的な商品数と安い値段がどうして可能になるのか
「品揃えが大量で、安い」を実現する仕組みとは
あらゆる商品が扱える「マーケットプレイス」という仕組み
スタートアップを最初に取り込めると大きい
「低関与商品」市場はこれからますます広がる――アマゾンダッシュボタン
第2章 キャッシュがあるから失敗できる
驚異的なアマゾンのキャッシュフロー
赤字でも株価が下がらない仕組み
CCCがマイナスという魔法から資金が生まれる
第3章 アマゾンで一番利益をあげているAWS
アマゾンのほとんどの儲けをたたき出す、知られざる巨大ビジネス
AWSの営業利益が、別部門の資金になる
大きくなりすぎると成長率がとまる理由
第4章 アマゾンの「プライム会員」とは何なのか
年会費は安くして、後から上げる
サービス過多なのは、ライフスタイルに入り込みたいから
第5章 アマゾンから、効率のいいM&Aを知る
ホールフーズのM&Aで、実店舗への乗り出しが現実的に
M&Aのメリットをおさらいしよう
第6章 巨大な倉庫と配送力で物流を制す
海上輸送に乗り出し、輸出の中間業者を中抜き
ラストワンマイルを制するものは、物流も制する
第7章 プラットフォームの主になるには
業界で打って出るのはプラットフォーマーになることがなにより第一
スーパーの脅威にもなる「アマゾンフレッシュ」
「卸の中抜き」は安値を出す基本――出版業界
第8章 アマゾンを底ざさえするのがテクノロジー
以上引用
AWSという仕組みは知っていたし、実はそれがアマゾンの稼ぎ頭だという意外な事実も過日、何かで読んでいた。
10年ほど前によく目にした【ロングテール】という差別化が肝だということも。
その上で、最初は1500円以上の注文なら送料無料というのから、現在は一切が送料無料になっている不可思議さにも気づいていた。
私はそのヘビーユーザーなので、数百円の品を過剰な専用箱に詰めて翌日無料配達する仕組みが理解できずにいた。
【絶対に利益は出ない、どころか、大きな赤字、グロスで考えたとしても】
なんで?
そいつに明快な解答を出しているのがこの本だった。
理由は簡単。
世界最大規模のクラウドサービスであるAWSから上がる莫大な利益で、宅配部門の赤字を埋めている。
こんな単純かつ明快な理由。
それは恐らく、市場を独占的に支配するまでの【投資】と考えているのだろう。
もう一つ、他のショッピングモールとの大きな差異、それは、物流基盤の独自開発力だ。
私の中の常識では、経費圧縮の為には、加盟店に軒先を貸して、そのロイヤリティーで稼ぐ、そして、その為のインフラはアウトソーシング。
そうすることで、リスクを回避する。
楽天も、私が店を持っているヤフーショッピングもそうだ。
でも、アマゾンは、いよいよその物流を自社独自で組み立てようとしている。
それが完成したとき、それこそが差別化、オンリーワンの企業になれる。
そう考えているのだろう。
それは、正しく過日ベゾスが言った【アマゾンはロジスティクス企業】との思いを体現している。
*ロジスティクス=兵站
*兵站(読み:へいたん、英:Military Logistics)とは、補給・輸送・管理という3つの要素から成立つ総合的な軍事業務で、戦闘地帯へ後方から必要な物資や兵員を配置するといった活動全般を指す。
ロジスティクスという言葉はこの「兵站」という軍事用語をビジネス用語に転用したものである。
そしてその具体的な仕組みがこのAmazon Hub デリバリーなのだろう。
すなわち、こう。
1.全国に市町村レベルで小さな配送拠点を設ける
2.そこへ、既に完成しているブロックごとの物流拠点から配送
3.その先の配達要員は、仕組み、道具、必然性を抱えた層を狙う
4.すなわち、商店主、定年後で何かをやりたい老人、子育ての一段落した主婦、子育て中でも子供を預けた後の時間が使える主婦etc.
5.何故なら、一種個人事業主扱いなので、配達業務における事故などの保障をしなくてよい
6.小さなエリアを担当させることで、ハードルを下げる
こうして、一番経費の掛かるラストワンマイルを安価に制する
となれば、つぶれかけの酒屋の店主なんて、うってつけではないか。
それで思い出した。
最近やたら各メディアで流れるアマゾンの配達請負人の宣伝。
『なんで今更?』
と思っていたが、なんと、【これから】だったのだ。
現在、それを主たる業務としている人たちは、アマゾンから業務委託された運送業者の下請けたる個人運送事業者として働いている。
片や、それとは別のルートとしてインフラ整備が進んでいるのがAmazon Hub デリバリーなのだろう。
それが完成すれば、もしかすると、アマゾンは全ての物流を自社で完結出来る?
ようになるかも知れない。
翻って私は?
ちょっと興味が湧いてきたので、やってみようと思っている。
お客さんのそう来ないつぶれかけの店に座っててもらちが明かない状況下、いよいよ腹を括って宅配にウェイトを置くべき?と考えているところだったので、これも何かのお導きかも知れないし。
明日は、その説明要員の彼がやってきて、具体的な詰めに入る予定。
「なら今夜は新居浜に泊まるん?」
「いえ、日帰りなんです」
名刺には、アマゾン輸送事業本部として、その所在地は尼崎とある。
やっぱ、気合と根性が我々とは違うようだ。
彼は酒が好きとのことで、非売品の酒VIPを買って帰った。
さて、こんなロートルが通用するのか?
また、本業の足手まといにならないか?
そんな不安も抱えつつ、さあ、どうなるやら・・・


