宝島のチュー太郎

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おらおらでひとりいぐも

 新聞の広告に惹かれて、図書館で借りて読んでる最中に芥川賞受賞の報が流れた。
一人称と三人称の文章が交互に行ったり来たり。

短い小説なんだけど、読了するのに時間が掛かった。
その世界に没頭出来ず、つい他所事を考えてしまう。
ということは、私には向いてない作風なんだと思う。
なので、書き残すことが頭に浮かばない。
だから、「読書感想文」を書く為にいくつかメモった。
そいつを残しておこう。


・自己の鉄兜の下に飼っていた凶暴な獣
・自分に対する好奇心
・おらの思っても見ながった世界がある
・きれいさっぱり用済みの人間
・おらはおらに従う


一目惚れした綺麗な夫を愛し、二人の子を育てた桃子さんは73歳(だったかな)。
夫に先立たれ、子供たちはそれぞれ独立。
築40年の自宅で、何をすることもなく毎日が過ぎてゆくおひとりさま。

余りの孤独に、聞こえる筈のない声が聞こえはじめる。
やがてそれは、自己の深層心理の声なんだと気づく。

それによれば、あんなに愛していた夫の死を、実は待っていた節がある。
表層心理は、残された悲しみに泣き濡れる日々。
でも、或る日を境に、明るい、ワクワクする、昂揚する気分が醸成される。


 実際の著者の年齢は63歳。
恐らくこうした、心境の変化は想像の産物なのだろう。

これから増えるであろうおひとりさま。
新聞記事などでは、これからの社会現象とも。

事実、今年62歳になる私も、そろそろその大気圏に突入する。


 自分はどうなんだろう?
存外、独りを愉しむ術は持っているようにも思える。
いや、それは実際に体がままならない状態までいかなければわからない。


 この作品は多分、そうした老境を迎える(た)人間の心の有り様を哲学したものなのだろう。


 ただ、禅や神といった精神世界を読みかじった人間としては、「無の境地」を目指すべきなんじゃないかと思っている。
人間は思考する動物。
常に何かを考えている。

たまにはそいつを解き放つ、すなわち瞑想する時間が必要なんじゃないか?
そして行雲流水、すなわち老子の精神。
これが肝要なんじゃないかと考えている。

要するに、「これでいいのだ」の精神なのだ。
そうさ、バカボンのパパになればいいのだ。



 最後に、

その道中の陽気なこと

この言い回し。
落語の「地獄八景亡者戯」を思い出す。
存外、若竹千佐子さんは落語好きなのかも知れない・・・


地獄八景亡者戯「桂枝雀」


9:33辺り。
因(ちな)みに、「じごくばっけいもうじゃのたわむれ」と読む。



以下はナイルの紹介文をコピペしたもの・・・



74歳、ひとり暮らしの桃子さん。
おらの今は、こわいものなし。

結婚を3日後に控えた24歳の秋、東京オリンピックのファンファーレに押し出されるように、故郷を飛び出した桃子さん。
身ひとつで上野駅に降り立ってから50年――住み込みのアルバイト、周造との出会いと結婚、二児の誕生と成長、そして夫の死。
「この先一人でどやって暮らす。こまったぁどうすんべぇ」
40年来住み慣れた都市近郊の新興住宅で、ひとり茶をすすり、ねずみの音に耳をすませるうちに、桃子さんの内から外から、声がジャズのセッションのように湧きあがる。
捨てた故郷、疎遠になった息子と娘、そして亡き夫への愛。震えるような悲しみの果てに、桃子さんが辿り着いたものとは――

青春小説の対極、玄冬小説の誕生!
*玄冬小説とは……歳をとるのも悪くない、と思えるような小説のこと。
新たな老いの境地を描いた感動作。第54回文藝賞受賞作。
主婦から小説家へーー63歳、史上最年長受賞。

◎文藝賞全選考委員絶賛!
「東京オリンピックの年に上京し、二人の子どもを産み育て、主婦として家族のために生き、夫を送って「おひとりさまの老後」を迎えた桃子さんは、戦後の日本女性を凝縮した存在だ。桃子さんは私のことだ、私の母のことだ、明日の私の姿だ、と感じる人が大勢いるはず」
――斎藤美奈子氏
「宮澤賢治「永訣の朝」にある「Ora Orade Shitori egumo」のフレーズ。それを悲しみのうちに死ぬの意ではなく、独り生きていく「自由」と「意欲」に結びつけた。「老い」をエネルギーとして生きるための、新しい文学が生み出された」
――藤沢周氏
「人の気持ちは一色ではないということを、若竹さんはよくぞ摑んだ。年を経たからこその、若々しい小説」
――保坂和志氏
「取り返しのつかない命のなかで、個人の自由や自立と、その反対側にある重くて辛いものも含めた両方を受け取って、人生を肯定的にとらえるまでにいたったのが見事」
――町田康氏

◎早くも話題沸騰! 反響続々!
「ほんとはね、ほんとは「独りがいい」。出会いも歓びだが、死別も解放だ。地声で語られた女のホンネが炸裂! 」
――上野千鶴子氏
「死すことのない共同体の言葉。それが支える「老い」の姿に初めて触れた。「頭の中に大勢の人たちがいる」ことは、きっと孤独ではない」
――小林紀晴氏
朝日新聞、読売新聞、産経新聞、東京新聞、共同通信ほか、絶賛の声多数!



おらおらでひとりいぐも 第158回芥川賞受賞
クリエーター情報なし
河出書房新社







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