けふのBGM
演奏の後に出てくる語りが邪魔なんだけど、これしか無かったので・・・
リンゴ追分
たまには「酒屋らしい」記事も書いておこう。

燗酒コンテスト2011金賞受賞と聞いて、久しぶりに仕入れてみた。
「出品総数254点の中から選ばれました」と首掛けには書いてある。
それは嘘では無いが、よく調べて見ると、金賞を受賞したのは80余りの銘柄のようで、およそ3分の1が金賞という訳だ。
(流石にそこまで詳しく書かないということだろうけど、そこに作為的なものを感じるのは穿ちすぎだろうか。)
なにはともあれ、四国では高知県の司牡丹2銘柄と、我が愛媛県の梅錦1銘柄というのだから、
燗酒大好きオヤジとしてはやっとかないわけにはいかないだろう。
徳利もいいけど、昨晩はこいつの気分だった。

私の記憶では「カンポ」と呼ばれていたように思うのだけど、調べてみるとそれは「チロリ」と呼ぶのが一般的なようだ。
こいつを見ると屋台のコップ酒が浮かんできて思わず唾が湧く。

お気に入りの猪口の一つでやる。

あては、白菜と豚肉のタジン鍋。

猪口を口に運ぶと、ツンとくるアルコール臭(これがたまらん)の中にふくよかなカラメルのような香りが混じる。
醇酒の中でも上手く辛口に仕上がった酒独特の香りだ。
飲み口は飽くまでスッキリ。
酸味は少なく、後味のキレが良い。
所謂生酛系の酸味がありウェットで、含み香が多く、余韻の深いタイプとは対局にあるタイプに思われる。
どちらかと言うと、本醸造に近い味わいなんだけど、そいつを純米酒でたたき出しているのは凄い。
柔な純米酒では、妙な酸味が浮き立って、凡庸な味になりがちなところを、キリっとエッジを立てた仕上げは流石だ。
私は、大七に代表される生酛が好きなのだが、こっちのタイプも好きだ。
(結局ほとんど好きってか。)
スペックを残しておこう。
産地 愛媛
造り手 梅錦山川酒造
タイプ 純米酒
味わい 淡麗辛口
容量 1800ml
精米歩合 65%
アルコール度 15~16度
日本酒度 +5
酸度 1.5
原料米 国産米
原材料 米 米麹
さて、学生の頃から夏でも燗酒を好んで飲んできた私には、それなりに思い出があるのだが、その中から余談を一つ。
新居浜には昔いくつかの造り酒屋があった。
中でも代表的な銘柄が「京美人」。
(四国の田舎でなんで?というネーミングだけど。)
そこのラインナップの中に「別子正宗」というのがあった(記憶違いでなければ)。
辛口との触れ込みで、確か本醸造だったような?
こいつが燗をつけると妙に美味かった。
スッキリタイプの酒だ。
或る日、そこの外交さんとその話になった。
曰く、
「大きな声ではいえんのんですけど、あれ、一級酒と同じ造りなんですよ」と。
よく訊けば、同じ造り方をしてもいつも同じメーター(日本酒度)になるとは限らないという。
で、やたら辛口に仕上がったタンクがあって、そいつに別のレッテルを貼ったというのだ。
ただ、それは偶然の産物なので、今度また同じ味わいに仕上げる自信も保証もないというわけだ。
だからこそ、純米酒でただ辛いだけではないバランスに仕上げるのは難しい技なんだと理解出来る。
そういう意味でもこの酒、いい~んじゃない!?
実はもっと安価で、燗にして美味い無名の酒もある。
これはまた後日のココロだ~・・・
