つくりバナシ
【エピローグ】 2023.9.15.現在 あれからそろそろ44年が経とうとしている。 もう【僕】というのには無理があるだろうから、【私】と変えさせていただこう。 結局、私はあれ以来、ケイとは一切の関係を断った。 なので、彼女が健在なのか、はたまたもう既に鬼…
【24】 仙台駅での別れからひと月が経とうとしていた或る日、ケイから手紙が届く。 あれ以降、こちらもキチンと受け入れて、仕事に専念する毎日だったから、それは意外で、そして嬉しかった。 それにはこう書いてあった。 『12月24日に手術を受けることにな…
【23】 それからはまた文通の再開だが、電話の方は回数が減ってきた。 そして、手紙の内容も段々と諦観の様相を呈してくる。 どうやら、ケイがいよいよこの恋にけじめをつけようと考え始めたようだ。 僕は? 情けないことに、そいつをひっくり返す気力も胆力…
【22】 ケイの実家では、一応の平安が訪れたようで、その後ケイには遠出が許された。 そして、月に一度は仕入れの為に上京できるようになって、数か月。 7月に出てきたケイは、また岩手に帰らなかった。 あれからちょうど1年。 魔の7月、熱い7月、狂おし…
【19】 それからの二人は週に二通は手紙のやりとりをした。 そして時々、ケイは近影を同封してきた。 一月末の手紙に、 『来月、名古屋にいる白百合の友達のところへ旅行に出ることになりました。東京駅で逢えない?』 と書いてよこした。 勿論僕は、万難を…
例えばこんな【13】 ケイにフラれたから、リコとは、それはなかったことにして継続。 そんな訳にはいかないだろう。 いくら【都合のいい女】でも、そういう訳にはいかない。 なので、リコにも事情を明らかに。 それが、僕という男のせめてもの矜持だ。 する…
【21】 それからまた、二人の文通と、ケイが公衆電話を使って時々掛けてくるときの会話という二つの手段での毎日が再開する。 肝心の二人の今後のスタンスについてだが、結局は、僕が養子として岩手に行かなければ二人の結婚はないという暗黙の了解のような…
ついにエピローグも書き終えた。 設計通りにタイトルとも結びついた。 軽く達成感を楽しんでいる。 これで、死ぬまでの課題をひとつ、果たせた。 そして、心の中のケイとも、またgood bye つきあってくれてありがとう、ケイ。 あと五日で全てをアップし終え…
【20】 時はあたかも後期試験の真っ最中。 殊勝にもケイは大人しくしていた。 「明日で試験は終わるよ」 「頑張ったね」 「ま、やっつけだけどね。なんとかなったわ」 「じゃあ、明日からは一緒に遊べるね」 「うん、まかせなさい」 「たのしみ~」 翌日、試…
昨晩、本文をついに書き終えた。 調べてみると、何となく書き始めたのが、2008.8.30.とあるから、15年経ったことになる。 その間、何度か挫折して、放置して、の繰り返しだった。 現在67歳。 人生の残り時間はそう長くはない。 『せめてこのくらい、死ぬまで…
例えばこんな【8】 楽しい時間は、あっという間に過ぎる。 そして、どんどん終電の時刻が迫ってくる。 僕は少なからず焦っていた。 このまま別れたら、もう次はないんじゃないか? ケイは、変な男のペースに巻き込まれておかしなことになったなんて、後悔す…
例えばこんな どうだろう、残部で30話くらいにはなるのかな。毎日1話ずつアップしてるので、追跡が面倒なことが想像できる。そこで一計を案じた。ここに全体をまとめて、新たな話をアップするごとに更新する、っつうのはどうだろう?ま、やってみよ!若い頃…
【19】 それからの二人は週に二通は手紙のやりとりをした。 そして時々、ケイは近影を同封してきた。 一月末の手紙に、 『来月、名古屋にいる白百合の友達のところへ旅行に出ることになりました。東京駅で逢えない?』 と書いてよこした。 勿論僕は、万難を…
【18】 ケイは女の子なのに、どちらかと言えば男装が多かった。 ジーンズは勿論のこと、タイトなパンツ、そしてボタウンダウンシャツにアスコットタイを合わせてみたり。 いわゆるアイビールックを好んで着た。 それがまたよく似合った。 コロンにしても、タ…
【17】 夏休み、お互いの実家に帰省して、半月ほど離れ離れになったことが二人のわだかまりを吹き飛ばした。 ケイの部屋での再会。 「お帰り!」 「ただいま」 「許してくれるのか」 「許す」 「良かった」 「だって、シュンがいないと寂しくて」 「オレも寂…
例えばこんな【16】 9月に入ってから、ケイは新たなバイトに通い出す。 それは、銀座のしゃぶしゃぶ専門店の中居だと聞いた。 一度、その制服のまま僕の部屋に帰ってきたことがあった。 その時僕は【ザ・ベストテン】を観ていた。 階下でドアが開く音がした…
昨晩は【22話】まで書いた。 頭の中に思い描いてるプロットを俯瞰すれば、あと1/3といったところか。 まずはどんどん書いてゆく。 そして、ここにアップする前に加筆訂正する。 その際『ストーリーだけを追い掛けてるなあ』という反省が入る。 なので、敢え…
【15】 帰省したはいいが、ケイのことが気になって仕方ない。 一応実家の電話番号は交換したが、電話を掛けるのは流石に気がひける。 海の夕日を眺めながらケイのことを思う日々。 『このずっと先にはケイの住む町が』 いやいや、ここは瀬戸内海だし。 それ…
【14】 国立駅前の公衆電話でケイに電話を掛ける。 「ケイ、これから行ってもいいか」 「送り届けたの?」 「うん」 「遅かったわね、何してたの?」 「最後だから飲ませろって言われたもので、一緒に飲んだ」 「彼女のその気持ちはわかる。でも、私の気持ち…
例えばこんな【13】 ケイにフラれたから、リコとは、それはなかったことにして継続。 そんな訳にはいかないだろう。 いくら【都合のいい女】でも、そういう訳にはいかない。 なので、リコにも事情を明らかに。 それが、僕という男のせめてもの矜持だ。 する…
例えばこんな【12】 それから、再び二人のオールナイトバトルが始まった。 「もう帰って、出掛けるから」 「ちょっと待て、このまま行かせるわけにはいかない」 「なに勝手なこと言ってるの、自分はどうなの」 「それは、ケイと出会う前のハナシだ。それから…
例えばこんな【11】 それから僕たちは冷戦状態に入った。 いや、僕の方は大いにケイが必要だったし、実のところヤキモキ、いや、ヒヤヒヤしていた。 このまま永久に逢えなくなることだってあり得る。 じゃあ、何のために告白したんだ、そんなことになるなら…
例えばこんな【10】 ケイに対する思いが深まれば深まるほど、言いようのない罪悪感が僕の心を支配し始めた。 勿論、それはリコに対しても同じことだった。 ただ、決定的に違うのは、今、僕の隣にいるのはケイで、その上心底好きになってしまっていた。 本当…
ケイの亡霊に憑りつかれている。 45年前の記憶の亡霊。 あの頃のケイはもう何処にもいない。 と同時に、その頃の僕ももういない。 お互いに存在しない亡霊同士。 いや、正確にはお互いというのは不適格だ。 だって、これは僕の一方的な思い。 そんなことか…
例えばこんな【9】 1976年5月 大学2年生の春、学友がセッティングした合ハイの人数合わせに駆り出された。 相手は、国立音楽大学の1年生グループだった。 奥多摩でハイキングをして、夜は、新宿の【acb】で飲んだ。 僕は極力大人しくしていたのに、たまた…
【例えばこんな】って、なんでこんなタイトルにしたんだろう。 それは『あまり深く考えてなかった』、多分これが正解。 でも、最後になんとなくこじつけられそうな気はしているので、やはり、心の何処か深い部分と繋がっているのだろう。 昨晩は19話まで書い…
例えばこんな【8】 楽しい時間は、あっという間に過ぎる。そして、どんどん終電の時刻が迫ってくる。僕は少なからず焦っていた。このまま別れたら、もう次はないんじゃないか?ケイは、変な男のペースに巻き込まれておかしなことになったなんて、後悔するん…
例えばこんな【7】 僕は、吉祥寺に住みたかったんだ。 高校時代、毎週楽しみに観ていた「俺たちの旅」というドラマの舞台が、井の頭公園だった。 だから、上京して二番目(一番目は新宿)に行ったのがそこ。 TVで観たのと同じ風景に感動したっけ。 吉祥寺…
毎日一話ずつ更新するルールを決めたので、先行して作文をするようにしている。 なんと流行作家の締め切り感覚ぢゃあないか。 折しも現在13話に差し掛かったところ。 ハートブレイクの頂点を表現する。 当時、正しくその瞬間に聴いてた因幡晃。 中でも、【ア…
例えばこんな【6】 階段の向こうには初夏の朝の陽光が広がっていた。青梅街道沿いの駅の昇降口を出たら、通りを渡らずに、180度折り返し、蚕糸試験場跡地や学校の塀沿いに進む。やがてその塀が切れるところで一度左にクランクして、今度は住宅街の中を進…
